売り出し価格と成約価格の差 1,802万円 ——大阪都心マンションの「本当の値段」
「大阪のマンションは1年で2割上がった」——その数字は、本当の値段でしょうか。
ダイヤモンド不動産研究所が近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)のデータをもとにまとめた9月の大阪の中古マンション市場では、大阪市中心6区(北区・中央区・西区・浪速区・天王寺区・福島区)の平均売出価格が7,849万円だったのに対し、実際に売買が成立した平均成約価格は6,046万円でした。その差は1,802万円で、1年前の882万円から2倍に広がっています。売り手の希望価格は前年比15.4%上がった一方、実際に売れた価格は2.2%しか上がっていません。旭森観察室でも、VOL.43やVOL.45では東京カンテイの「売り希望価格」をもとに大阪市の中古マンション価格が前年比20%以上上がっていると紹介してきました。しかし実際に成立した取引を見ると、景色はかなり違います。本号では、売り出し価格と成約価格の二つの数字から、大阪都心のマンション市場の「本当の値段」を読み解きます。
大阪市中心6区 中古マンション 売出価格 成約価格 差 1802万円 2026年9月 近畿レインズ
数字が示しているのは、売り手と買い手の間の「距離」が急速に広がっていることです。売りに出される物件は1年で4割近く増え、売り手はより高い値段をつけています。一方で、実際に売れた件数は3割減り、売れた価格はほぼ横ばいです。成約価格は前月比では2.9%下がりました。
※売出価格・成約価格はそれぞれ新規登録物件・成約物件の平均で、物件の広さや築年数の構成が異なるため、差額は両者の価格水準の違いを示す目安です。
大阪市 18区 大阪府 中古マンション 成約価格 成約件数 減少 2026年9月
売出価格 2,885万円(前年比 +11.8%)
成約価格 2,897万円(前年比 +0.4%)
売出が成約を12万円下回る(前年は306万円下回る)
成約件数 202件(前年比 −23.5%)
成約価格 3,485万円(前年比 −5.3%)
成約㎡単価 53.15万円(前年比 −4.3%)
成約件数 747件(前年比 −19.9%)
前年932件から約2割減
中心6区以外の大阪市18区では、売出価格と成約価格の差はほとんどありません。価格帯が比較的手ごろなエリアでは、売り手の希望と買い手の判断が大きくずれていないということです。ただし、ここでも成約件数は前年より2割以上減っています。大阪府全体で見ると、成約価格は前年比5.3%下がり、成約件数は約2割減りました。
東京23区 中古マンション 4カ月連続下落 2026年9月 都心6区 5カ月連続 買い手 有利 大阪中心6区 3カ月連続
東京カンテイが10月22日に公表した9月の中古マンション価格(70㎡換算・売り希望価格)では、東京23区が1億2,629万円と前月比0.4%下がり、4カ月連続の下落となりました。5月まで25カ月連続で過去最高を更新していた東京23区の価格が、はっきり下向きに転じています。
共同通信の報道によると、高い価格に買い手が付きにくくなり、都心では値下げする売り手が出ています。東京カンテイの担当者は、都心部の価格上昇は投機的な投資によるところが大きかったとし、首都圏では下落する東京23区と、実需に支えられて上昇する23区以外とで「二極化する」との見方を示しました。大阪市中心6区の売り希望価格も3カ月続けて下がっており、東京と同じ「都心から伸びが止まる」動きが、大阪でも数字に表れ始めています。
マンション価格 データ 読み方 売り希望価格 成約価格 違い レインズ 東京カンテイ
旭森観察室ではこれまで、VOL.43で東京カンテイの中古マンション価格(大阪市6,543万円、前年比+23.5%)を、VOL.45ではその価格をもとにした表面利回りの試算を紹介しました。これらはいずれも「売り希望価格」にもとづく数字です。今回の成約データを見ると、売り希望価格の上昇は、実際の取引価格の上昇よりかなり大きかったことがわかります。
在日華人 大阪 中古マンション 購入 価格交渉 売却 価格設定 成約事例 確認
中心6区では売り出し価格と成約価格の差が1年で2倍に広がり、売りに出される物件も4割近く増えています。買い手が選べる状況になりつつあり、売り出し価格のまま買う必要はありません。周辺の成約事例をもとに、根拠のある価格で交渉することが大切です。
売り希望価格の上昇を見て強気の値段をつけても、成約に至らなければ時間だけが過ぎていきます。中心6区では成約件数が3割減っています。売却を考えている方は、売り出し価格ではなく成約価格を基準に、現実的な価格設定を考える必要があります。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や、レインズの「レインズ・マーケット・インフォメーション」では、実際の取引価格の情報を誰でも確認できます。ニュースやチラシの「価格上昇」という言葉だけで判断せず、検討しているエリアの成約価格を自分で見ておくことが、冷静な判断につながります。
9月の大阪市中心6区では、売出価格7,849万円(前年比+15.4%)に対して成約価格は6,046万円(+2.2%)でした。差は1年前の882万円から2倍に広がり、成約件数は30.1%減、新規登録は37.8%増です。売り手の期待と買い手の判断の間に、大きな距離が生まれています。
大阪府全体の成約件数は前年比19.9%減、成約価格は5.3%減でした。東京23区の売り希望価格は4カ月連続で下がり、大阪市中心6区も3カ月連続の下落です。都心から市場の勢いが変わり始めていることが、複数のデータに表れています。
旭森観察室がこれまで紹介してきた売り希望価格のデータは、価格の方向感をつかむには有効ですが、実際の取引価格より高く出やすいものでした。買う人も売る人も、近隣の成約事例を基準に考えることが、今の市場ではとりわけ大切です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。

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