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売り出し価格と成約価格の差 1,802万円 ——大阪都心マンションの「本当の値段」

◆ 旭森観察室 · ASAHIMORI OBSERVATORY ◆
Asking vs Sold · VOL.49 · 2026.10.23
売り出し価格と成約価格の差
1,802万円
——大阪都心マンションの「本当の値段」
🏢 大阪市中心6区 中古マンション(2026年9月・近畿レインズ)
売出価格
7,849万円
前年比 +15.4%
成約価格
6,046万円
前年比 +2.2%
差は1年前の882万円から1,802万円へ、2倍に拡大
成約件数は181件(−30.1%)、新規登録は1,297件(+37.8%)
売り手は1年で15%高い値段をつけた
しかし実際に売れた値段は2%しか上がっていない

——「大阪のマンションは2割上がった」は本当か
売り出し価格と成約価格、二つの数字の間にある真実を読み解く

「大阪のマンションは1年で2割上がった」——その数字は、本当の値段でしょうか。

ダイヤモンド不動産研究所が近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)のデータをもとにまとめた9月の大阪の中古マンション市場では、大阪市中心6区(北区・中央区・西区・浪速区・天王寺区・福島区)の平均売出価格が7,849万円だったのに対し、実際に売買が成立した平均成約価格は6,046万円でした。その差は1,802万円で、1年前の882万円から2倍に広がっています。売り手の希望価格は前年比15.4%上がった一方、実際に売れた価格は2.2%しか上がっていません。旭森観察室でも、VOL.43やVOL.45では東京カンテイの「売り希望価格」をもとに大阪市の中古マンション価格が前年比20%以上上がっていると紹介してきました。しかし実際に成立した取引を見ると、景色はかなり違います。本号では、売り出し価格と成約価格の二つの数字から、大阪都心のマンション市場の「本当の値段」を読み解きます。

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Section 01 · Two Prices

大阪市中心6区 中古マンション 売出価格 成約価格 差 1802万円 2026年9月 近畿レインズ

中心6区:売り手と買い手の距離が2倍に
大阪市中心6区 中古マンション(2026年9月)
項目
2026年9月
前年比
売出価格(新規登録)
7,849万円
+15.4%
成約価格
6,046万円
+2.2%
売出と成約の差
1,802万円
前年 882万円
成約件数
181件
−30.1%
新規登録件数
1,297件
+37.8%

数字が示しているのは、売り手と買い手の間の「距離」が急速に広がっていることです。売りに出される物件は1年で4割近く増え、売り手はより高い値段をつけています。一方で、実際に売れた件数は3割減り、売れた価格はほぼ横ばいです。成約価格は前月比では2.9%下がりました。

💡 なぜ「差」が開くのか:売出価格は、売り手が「これくらいで売りたい」と考える希望の値段です。成約価格は、買い手が実際に「この値段なら買う」と判断して取引が成立した値段です。価格が上がり続けた時期の記憶から売り手は強気の値段をつけますが、金利上昇(VOL.42)などで買い手は慎重になっています。両者の見方がずれると、売れ残りが増え、差が開いていきます。ダイヤモンド不動産研究所も、売り手の希望価格に買い手が追いついていない可能性を指摘しています。

※売出価格・成約価格はそれぞれ新規登録物件・成約物件の平均で、物件の広さや築年数の構成が異なるため、差額は両者の価格水準の違いを示す目安です。

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Section 02 · Beyond the Center

大阪市 18区 大阪府 中古マンション 成約価格 成約件数 減少 2026年9月

都心以外:差はほぼゼロ、ただ取引は減少
● 大阪市18区(中心6区以外)
  • 売出価格 2,885万円(前年比 +11.8%)

  • 成約価格 2,897万円(前年比 +0.4%)

  • 売出が成約を12万円下回る(前年は306万円下回る)

  • 成約件数 202件(前年比 −23.5%)

● 大阪府全体
  • 成約価格 3,485万円(前年比 −5.3%)

  • 成約㎡単価 53.15万円(前年比 −4.3%)

  • 成約件数 747件(前年比 −19.9%)

  • 前年932件から約2割減

中心6区以外の大阪市18区では、売出価格と成約価格の差はほとんどありません。価格帯が比較的手ごろなエリアでは、売り手の希望と買い手の判断が大きくずれていないということです。ただし、ここでも成約件数は前年より2割以上減っています。大阪府全体で見ると、成約価格は前年比5.3%下がり、成約件数は約2割減りました。

💡 価格より先に「件数」が動く:不動産市場では、価格が下がる前にまず取引の件数が減るのが一般的なパターンです。売り手は値下げをすぐには受け入れず、買い手は高いと感じて買わない——その結果、価格は高止まりしたまま取引だけが減ります。大阪府全体で成約件数が2割減り、中心6区では3割減ったことは、市場の勢いが変わり始めているサインと読むことができます。
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Section 03 · Tokyo

東京23区 中古マンション 4カ月連続下落 2026年9月 都心6区 5カ月連続 買い手 有利 大阪中心6区 3カ月連続

東京は一歩先に:23区は4カ月連続の下落

東京カンテイが10月22日に公表した9月の中古マンション価格(70㎡換算・売り希望価格)では、東京23区が1億2,629万円と前月比0.4%下がり、4カ月連続の下落となりました。5月まで25カ月連続で過去最高を更新していた東京23区の価格が、はっきり下向きに転じています。

東京23区1億2,629万円(前月比 −0.4%)· 4カ月連続下落
東京都心6区1億7,786万円(前月比 −1.6%)· 5カ月連続下落
首都圏全体7,773万円(前月比 +2.2%)· 横浜・千葉・さいたまは上昇
大阪市中心6区9,327万円(前月比 −1.5%)· 3カ月連続下落

共同通信の報道によると、高い価格に買い手が付きにくくなり、都心では値下げする売り手が出ています。東京カンテイの担当者は、都心部の価格上昇は投機的な投資によるところが大きかったとし、首都圏では下落する東京23区と、実需に支えられて上昇する23区以外とで「二極化する」との見方を示しました。大阪市中心6区の売り希望価格も3カ月続けて下がっており、東京と同じ「都心から伸びが止まる」動きが、大阪でも数字に表れ始めています。

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Section 04 · Reading the Data

マンション価格 データ 読み方 売り希望価格 成約価格 違い レインズ 東京カンテイ

データの読み方:旭森観察室からの補足

旭森観察室ではこれまで、VOL.43で東京カンテイの中古マンション価格(大阪市6,543万円、前年比+23.5%)を、VOL.45ではその価格をもとにした表面利回りの試算を紹介しました。これらはいずれも「売り希望価格」にもとづく数字です。今回の成約データを見ると、売り希望価格の上昇は、実際の取引価格の上昇よりかなり大きかったことがわかります。

主なマンション価格データの違い
データ
何の価格か
特徴
東京カンテイ
売り希望価格(70㎡換算)
広さをそろえて比較しやすい。売り手の強気が反映されやすい
レインズ成約
実際の成約価格
本当に売れた値段。物件構成で月ごとに振れやすい
新築(不動産経済研)
新築の発売価格
その月に発売された物件で大きく変わる
⚠️ 売り希望価格は「上限の目安」として:売り希望価格は市場の方向感をつかむのに役立ちますが、価格が上がる局面では実際の取引価格より高く出やすくなります。VOL.45で試算した表面利回り(約4.4%)も売り希望価格をもとにしたもので、実際の取引価格で計算すれば、利回りはこれより高くなる可能性があります。物件の価値を判断するときは、売り出し価格だけでなく、近くの物件が実際にいくらで成約したかを必ず確認することが大切です。
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Section 05 · For Investors

在日華人 大阪 中古マンション 購入 価格交渉 売却 価格設定 成約事例 確認

在日華人投資家はこの「差」をどう使うか
🔍 売出と成約の差から読み取れる3つの視点
🤝
買う人:価格交渉の余地が広がっている
中心6区では売り出し価格と成約価格の差が1年で2倍に広がり、売りに出される物件も4割近く増えています。買い手が選べる状況になりつつあり、売り出し価格のまま買う必要はありません。周辺の成約事例をもとに、根拠のある価格で交渉することが大切です。
🏷️
売る人:「去年の相場」では売れにくい
売り希望価格の上昇を見て強気の値段をつけても、成約に至らなければ時間だけが過ぎていきます。中心6区では成約件数が3割減っています。売却を考えている方は、売り出し価格ではなく成約価格を基準に、現実的な価格設定を考える必要があります。
📊
成約データを自分で確認する
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や、レインズの「レインズ・マーケット・インフォメーション」では、実際の取引価格の情報を誰でも確認できます。ニュースやチラシの「価格上昇」という言葉だけで判断せず、検討しているエリアの成約価格を自分で見ておくことが、冷静な判断につながります。
💡
Section 06 · Conclusion
旭森観察室 VOL.49 の3つの結論
💡 結論①:大阪都心では、売り出し価格と成約価格の差が1,802万円に
9月の大阪市中心6区では、売出価格7,849万円(前年比+15.4%)に対して成約価格は6,046万円(+2.2%)でした。差は1年前の882万円から2倍に広がり、成約件数は30.1%減、新規登録は37.8%増です。売り手の期待と買い手の判断の間に、大きな距離が生まれています。
💡 結論②:価格より先に、取引の件数が減り始めた
大阪府全体の成約件数は前年比19.9%減、成約価格は5.3%減でした。東京23区の売り希望価格は4カ月連続で下がり、大阪市中心6区も3カ月連続の下落です。都心から市場の勢いが変わり始めていることが、複数のデータに表れています。
💡 結論③:判断の基準は「売り出し価格」ではなく「成約価格」
旭森観察室がこれまで紹介してきた売り希望価格のデータは、価格の方向感をつかむには有効ですが、実際の取引価格より高く出やすいものでした。買う人も売る人も、近隣の成約事例を基準に考えることが、今の市場ではとりわけ大切です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。
【主な出典】ダイヤモンド不動産研究所「9月の大阪中古マンション価格推移は、中心6区で売出と成約の価格差が1000万円超に急拡大!」(2026年10月15日、近畿圏不動産流通機構「マンスリーレポート」を編集部集計)/共同通信配信「東京23区、4カ月連続下落 9月、中古マンション価格」(10月22日、東奥日報ほか掲載)/ABEMA TIMES「23区中古マンション価格 4カ月連続下落」(10月22日)/東京カンテイ「中古マンション70㎡価格月別推移」2026年8月分(9月24日)
ASAHIMORI · 旭森不動産
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言・売買の勧誘、また特定の地域・物件への投資を推奨するものではありません。掲載の価格・件数データは近畿圏不動産流通機構のデータをもとにしたダイヤモンド不動産研究所の集計、東京カンテイの公表資料および報道(2026年10月時点)に基づく参考情報です。売出価格と成約価格は対象物件の構成が異なるため、差額は目安です。個別物件の価格や将来の不動産価格を保証するものではありません。不動産の売買に関する最終判断は、専門家にご相談の上、ご自身の責任で行ってください。