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大阪の民泊、10月30日から新ルール ——規制強化と 中国客減少の二重の逆風

◆ 旭森観察室 · ASAHIMORI OBSERVATORY ◆
Minpaku Rules · VOL.48 · 2026.10.19
大阪の民泊、10月30日から新ルール
——規制強化と
中国客減少の二重の逆風
🏠 改正「大阪市旅館業法の施行等に関する条例」
10月30日施行
入居者のいる建物で新たに開業する場合、原則RC・SRC造が必要に
木造・鉄骨造のアパート・長屋での新規開業は原則不可
特区民泊
新規終了
2026年5月29日
中国からの訪日客
−59.0%
2026年8月
訪日客全体
−9.6%
2026年8月
5月に特区民泊の新規受付が終わり、旅館業による開業に相談が集中した
その「抜け道」をふさぐ改正条例が、10月30日から始まる

——同じ時期、民泊の主要顧客だった中国からの訪日客は6割減
大阪の民泊投資は、供給と需要の両面で転換点を迎えている

大阪の民泊をめぐるルールが、10月30日から変わります。

大阪市議会は9月30日、旅館業法に基づく民泊の開業要件を厳しくする改正条例を全会一致で可決しました。施行は10月30日です。入居者がいる建物で新たに民泊を始める場合、原則として鉄筋コンクリート(RC)造か鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造であることが求められ、木造や鉄骨造のアパート・長屋での新規開業は事実上難しくなります。大阪市では5月29日に国家戦略特区による「特区民泊」の新規受付がすでに終了しており、今回の改正はその後に急増した旅館業での開業を対象にしたものです。一方、需要の面でも変化が起きています。中国からの訪日客は8月に前年同月比59.0%減少しました。民泊は在日華人投資家にとって身近な投資手法の一つです。本号では、新しいルールの中身と、民泊投資を取り巻く環境の変化を整理します。

📜
Section 01 · New Rules

大阪市 旅館業 条例 改正 2026年10月30日 施行 民泊 木造 鉄骨 RC SRC 常駐 近隣周知

何が変わるのか:旅館業民泊の開業要件を厳格化
可決2026年9月30日 大阪市議会(全会一致)
施行2026年10月30日
対象旅館業法に基づく民泊(簡易宿所など)
建物の構造入居者のいる建物で新規開業する場合、原則RC造・SRC造が必要
例外市長が同等以上の防音性能を認めた場合
既存施設延べ面積が増える改修を行う場合は新基準の対象
管理体制宿泊客の滞在中の管理体制(常駐など)を強化
近隣への周知騒音防止策・緊急時の対応方法の周知を求める

最大のポイントは建物の構造です。アパートや長屋のように、住民が暮らす建物の一部で民泊を始める場合、遮音性の高いRC造・SRC造でなければ原則として許可されなくなります。木造や鉄骨造の建物は、住民との騒音トラブルが起きやすいためです。報道によると、2024〜25年度に寄せられた特区民泊の騒音苦情のうち、8割超が木造や鉄骨造の施設に関するものでした。

💡 対象は「旅館業の民泊」:今回の改正条例の対象は、旅館業法に基づく民泊です。国家戦略特区による「特区民泊」や、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)による民泊は、それぞれ別の法律にもとづく制度で、この条例が自動的に適用されるわけではありません。ただし、いずれの制度でも行政の監視は強まっており、「自分は対象外だから関係ない」とは言い切れません。運営している民泊がどの制度にもとづくものかを、まず確認しておくことが大切です。
🗓️
Section 02 · Background

大阪市 特区民泊 新規受付終了 5月29日 8178軒 全国の9割 抜け道 旅館業 開業相談 急増

なぜ今なのか:特区民泊終了後の「抜け道」をふさぐ

大阪市は、全国の特区民泊の大半が集中する街です。内閣府によると大阪市内の特区民泊は8,178軒で、全国の9割にあたります(観光経済新聞、2026年6月)。その急増とともに、ごみや騒音などをめぐる住民の苦情が相次ぎ、市は「迷惑民泊根絶チーム」を設けて立ち入り調査などを進めてきました。

大阪の民泊規制の流れ
時期
出来事
2026年3月
受付終了を前に特区民泊の新規申請が前年の1.5倍に
5月29日
特区民泊の新規受付が終了
6月以降
旅館業法による民泊の開業相談が急増
9月30日
旅館業の開業要件を厳しくする改正条例を可決
10月30日
改正条例 施行

特区民泊の新規受付が終わった後、旅館業の許可を取って民泊を始めようとする動きが増えました。今回の改正は、この「抜け道」によって木造アパートなどでの民泊が増え続けることを防ぐ狙いがあります。ただし、大阪市では特区民泊の施設数が旅館業施設を大きく上回っており、既存の特区民泊への対応は今後の課題として残っています。

💡 規制強化は大阪だけではない:京都市は4月に民泊の規制強化を検討する有識者会議を設け、今年度中の条例改正を目指しています。東京都新宿区は、住宅地や学校周辺で民泊新法による営業を原則禁止する方針で、既存施設も対象とし、2027年6月の施行を予定していると報じられています。訪日客の多い都市を中心に、民泊を「増やす」段階から「管理する」段階へ、政策の流れがはっきり変わりつつあります。
✈️
Section 03 · Demand

訪日外客数 2026年8月 中国 59%減 韓国 台湾 増加 関西空港 外国人旅客 減少 大阪

需要の変化:中国からの訪日客は6割減

民泊を取り巻く環境の変化は、規制だけではありません。訪日客の構成も大きく変わっています。日本政府観光局(JNTO)によると、8月の訪日外客数は309万8,900人で前年同月比9.6%減でした。最大の要因は中国市場の落ち込みです。

主要市場の訪日客数 前年同月比(2026年8月)JNTO推計値
韓国+28.7%
香港+9.4%
台湾+7.3%
米国+1.5%
全体−9.6%
中国−59.0%

中国からの訪日客は8月に41万8,000人と、前年同月から59.0%減りました。中国政府による日本への渡航注意喚起や、航空便の減便が影響していると報じられています。1〜8月の累計でも、中国は56.7%減です。一方、韓国は+28.7%、台湾は+7.3%、香港は+9.4%と増えており、韓国・台湾・香港・米国など14市場が8月として過去最高を記録しました。訪日客全体の1〜8月累計は前年比2.7%減にとどまっています。

関西空港(7月)外国人旅客 約151万人(前年比 −15%)、8カ月連続で前年割れ
うち中国路線−63%(韓国・香港・マカオ路線は増加)
大阪府(4月)来阪外国人 164.7万人(−5.5%)、うち中国 −56.8%
⚠️ 大阪は中国客への依存度が高かった:大阪観光局の2025年の関西空港出国者調査では、関空を利用する外国人のうち中国からの旅行者は約3割を占めていました。中国客の比率が高い大阪では、中国市場の落ち込みの影響が出やすい構造です。中国からの旅行者を主な顧客としてきた民泊にとっては、規制と同時に需要の減少という二つの逆風が重なっています。
🎯
Section 04 · For Investors

在日華人 民泊 投資 大阪 規制 影響 物件選び 長期賃貸 転換

在日華人投資家は民泊とどう向き合うか
🔍 民泊投資を考える3つの視点
🏚️
「民泊転用前提」の物件購入は慎重に
10月30日以降、住民のいる木造・鉄骨アパートを買って一部を民泊にする、という計画は原則として成り立たなくなります。特区民泊の新規受付もすでに終わっています。「民泊にすれば高い利回りが出る」という前提で物件を探している場合は、その物件で実際にどの制度の許可が取れるのかを、購入前に必ず確認する必要があります。
🔒
既存の許可は「希少な資産」になる面も
新規の参入が難しくなるということは、すでに適法に運営している施設の価値が相対的に高まる面もあります。ただし、行政の監視は強まっており、苦情への対応や管理体制が不十分な施設は、今後さらに厳しい対応を受ける可能性があります。適法で丁寧な運営が、これまで以上に問われます。
🔄
長期賃貸という選択肢を改めて比べる
VOL.45で見たように、大阪市の分譲マンション賃料は1年で10.1%上がっています。訪日客の動向や規制に左右されやすい民泊と、需要が安定し家賃も上がっている長期賃貸を、改めて比較する価値があります。民泊の稼働が落ちている物件では、長期賃貸への切り替えも現実的な選択肢になります。
💡 訪日客全体の需要は底堅い:中国客は大きく減りましたが、韓国・台湾・香港・欧米からの旅行者は増えており、訪日客全体の減少幅は1〜8月累計で2.7%にとどまっています。大阪の宿泊需要そのものが消えたわけではありません。変わったのは「誰が泊まるか」と「どのような施設が認められるか」です。顧客層の変化に合わせた運営ができるかどうかが、今後の民泊の収益を分けることになります。
💡
Section 05 · Conclusion
旭森観察室 VOL.48 の3つの結論
💡 結論①:10月30日から、旅館業民泊の開業要件が厳しくなる
大阪市の改正条例により、入居者のいる建物で旅館業の民泊を新たに始めるには、原則RC造・SRC造が必要になります。木造・鉄骨造のアパートや長屋での新規開業は事実上難しくなり、管理体制や近隣への周知も強化されます。特区民泊の新規受付終了(5月29日)に続く規制で、新たに民泊を始める道は大きく狭まりました。
💡 結論②:需要面でも中国客が6割減、顧客層が変化
8月の中国からの訪日客は前年比59.0%減、関西空港の中国路線は7月に63%減でした。一方、韓国・台湾・香港などは増えており、訪日客全体の減少は1〜8月で2.7%にとどまっています。民泊の需要は消えたのではなく、顧客の構成が変わりつつあります。
💡 結論③:民泊は「高利回りの近道」から「管理された事業」へ
新規参入が難しくなり、運営への監視も強まる中で、民泊は手軽に高い利回りを狙う手段ではなくなりつつあります。これから物件を買う方は許可の可否を事前に確かめること、すでに運営している方は適法で丁寧な運営と、長期賃貸との比較を検討することが大切です。旭森観察室は、これからも一次情報に基づく蒸留された情報をお届けします。
【主な出典】大阪市「改正後の大阪市旅館業法の施行等に関する条例が令和8年10月30日から施行されます」/東京報道新聞「特区民泊終了後の『抜け道』防ぐ 大阪市、旅館業民泊の開業要件を厳格化」/プログレスワークス「2026年10月30日施行 大阪市の旅館業ルールが変わります」(10月4日時点情報)/観光経済新聞「観国之光 540 民泊に変化の兆し」(2026年6月9日)/日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(9月16日)/やまとごころ.jp「2026年8月訪日客数9.6%減の309万人」/DIS-media「中国人観光客が6割減っても訪日客全体は1割減なのはなぜか」(10月19日)
ASAHIMORI · 旭森不動産
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言・売買の勧誘、また法律上の助言を行うものではありません。掲載の条例の内容は2026年10月時点の大阪市の公表資料および報道に基づく概要であり、経過措置・例外規定・詳細な審査基準等は大阪市の最新の公表資料をご確認ください。個別の物件で民泊の許可が取得できるかどうかは、大阪市の担当窓口や行政書士等の専門家にご相談ください。訪日客数等のデータは各機関の公表値(推計値を含む)に基づく参考情報であり、将来の需要や収益を保証するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。