大阪の民泊、10月30日から新ルール ——規制強化と 中国客減少の二重の逆風
大阪の民泊をめぐるルールが、10月30日から変わります。
大阪市議会は9月30日、旅館業法に基づく民泊の開業要件を厳しくする改正条例を全会一致で可決しました。施行は10月30日です。入居者がいる建物で新たに民泊を始める場合、原則として鉄筋コンクリート(RC)造か鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造であることが求められ、木造や鉄骨造のアパート・長屋での新規開業は事実上難しくなります。大阪市では5月29日に国家戦略特区による「特区民泊」の新規受付がすでに終了しており、今回の改正はその後に急増した旅館業での開業を対象にしたものです。一方、需要の面でも変化が起きています。中国からの訪日客は8月に前年同月比59.0%減少しました。民泊は在日華人投資家にとって身近な投資手法の一つです。本号では、新しいルールの中身と、民泊投資を取り巻く環境の変化を整理します。
大阪市 旅館業 条例 改正 2026年10月30日 施行 民泊 木造 鉄骨 RC SRC 常駐 近隣周知
最大のポイントは建物の構造です。アパートや長屋のように、住民が暮らす建物の一部で民泊を始める場合、遮音性の高いRC造・SRC造でなければ原則として許可されなくなります。木造や鉄骨造の建物は、住民との騒音トラブルが起きやすいためです。報道によると、2024〜25年度に寄せられた特区民泊の騒音苦情のうち、8割超が木造や鉄骨造の施設に関するものでした。
大阪市 特区民泊 新規受付終了 5月29日 8178軒 全国の9割 抜け道 旅館業 開業相談 急増
大阪市は、全国の特区民泊の大半が集中する街です。内閣府によると大阪市内の特区民泊は8,178軒で、全国の9割にあたります(観光経済新聞、2026年6月)。その急増とともに、ごみや騒音などをめぐる住民の苦情が相次ぎ、市は「迷惑民泊根絶チーム」を設けて立ち入り調査などを進めてきました。
特区民泊の新規受付が終わった後、旅館業の許可を取って民泊を始めようとする動きが増えました。今回の改正は、この「抜け道」によって木造アパートなどでの民泊が増え続けることを防ぐ狙いがあります。ただし、大阪市では特区民泊の施設数が旅館業施設を大きく上回っており、既存の特区民泊への対応は今後の課題として残っています。
訪日外客数 2026年8月 中国 59%減 韓国 台湾 増加 関西空港 外国人旅客 減少 大阪
民泊を取り巻く環境の変化は、規制だけではありません。訪日客の構成も大きく変わっています。日本政府観光局(JNTO)によると、8月の訪日外客数は309万8,900人で前年同月比9.6%減でした。最大の要因は中国市場の落ち込みです。
中国からの訪日客は8月に41万8,000人と、前年同月から59.0%減りました。中国政府による日本への渡航注意喚起や、航空便の減便が影響していると報じられています。1〜8月の累計でも、中国は56.7%減です。一方、韓国は+28.7%、台湾は+7.3%、香港は+9.4%と増えており、韓国・台湾・香港・米国など14市場が8月として過去最高を記録しました。訪日客全体の1〜8月累計は前年比2.7%減にとどまっています。
在日華人 民泊 投資 大阪 規制 影響 物件選び 長期賃貸 転換
10月30日以降、住民のいる木造・鉄骨アパートを買って一部を民泊にする、という計画は原則として成り立たなくなります。特区民泊の新規受付もすでに終わっています。「民泊にすれば高い利回りが出る」という前提で物件を探している場合は、その物件で実際にどの制度の許可が取れるのかを、購入前に必ず確認する必要があります。
新規の参入が難しくなるということは、すでに適法に運営している施設の価値が相対的に高まる面もあります。ただし、行政の監視は強まっており、苦情への対応や管理体制が不十分な施設は、今後さらに厳しい対応を受ける可能性があります。適法で丁寧な運営が、これまで以上に問われます。
VOL.45で見たように、大阪市の分譲マンション賃料は1年で10.1%上がっています。訪日客の動向や規制に左右されやすい民泊と、需要が安定し家賃も上がっている長期賃貸を、改めて比較する価値があります。民泊の稼働が落ちている物件では、長期賃貸への切り替えも現実的な選択肢になります。
大阪市の改正条例により、入居者のいる建物で旅館業の民泊を新たに始めるには、原則RC造・SRC造が必要になります。木造・鉄骨造のアパートや長屋での新規開業は事実上難しくなり、管理体制や近隣への周知も強化されます。特区民泊の新規受付終了(5月29日)に続く規制で、新たに民泊を始める道は大きく狭まりました。
8月の中国からの訪日客は前年比59.0%減、関西空港の中国路線は7月に63%減でした。一方、韓国・台湾・香港などは増えており、訪日客全体の減少は1〜8月で2.7%にとどまっています。民泊の需要は消えたのではなく、顧客の構成が変わりつつあります。
新規参入が難しくなり、運営への監視も強まる中で、民泊は手軽に高い利回りを狙う手段ではなくなりつつあります。これから物件を買う方は許可の可否を事前に確かめること、すでに運営している方は適法で丁寧な運営と、長期賃貸との比較を検討することが大切です。旭森観察室は、これからも一次情報に基づく蒸留された情報をお届けします。

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