大阪のオフィス空室率 6年ぶりの2%台へ ——「供給過剰」の予想は外れた
大阪のオフィス市場が、予想を大きく上回る強さを見せています。
オフィス仲介大手の三鬼商事が公表した最新データ(9月時点)によると、大阪ビジネス地区(梅田・南森町・淀屋橋本町・船場・心斎橋難波・新大阪)の9月の平均空室率は2.84%となり、6年ぶりに2%台まで下がりました。平均賃料は1坪あたり13,609円で、前年同月比8.4%の上昇です。2024年前後には、グラングリーン大阪をはじめとする大型ビルの完成が相次ぎ、「供給過剰で空室が増える」との見方が広がっていました。実際には、その新しいビルが埋まり、空室率は下がり続けています。オフィスは個人投資家にとって遠い存在に見えるかもしれません。しかし、企業がどれだけ大阪に人と拠点を置くかは、住宅の賃貸需要や地価を支える土台です。本号では、オフィス市場の最新データから大阪の「街の実力」を読み解きます。
大阪 オフィス 空室率 2026年9月 2.84% 平均賃料 13609円 三鬼商事 6年ぶり
三鬼商事によると、9月は自社ビルから賃貸ビルへの大型移転が相次ぎ、新築ビルや既存ビルの大きな空室で成約が進みました。新築ビルの空室率は1カ月で13ポイント以上下がっています。企業が古い自社ビルを出て、設備の新しい賃貸ビルへ移る動きが、大阪の需要を押し上げている形です。
大阪 オフィス 地区別 空室率 梅田 心斎橋 難波 淀屋橋 本町 船場 南森町 新大阪
6地区すべてで賃料が前年を上回りました。最も伸びたのは梅田で、空室率は2.21%まで下がり、賃料は1年で11.2%上がって18,850円/坪となりました。心斎橋・難波は空室率0.92%と、ほぼ満室の状態です。船場も賃料が10.3%上がっています。
一方、新大阪は唯一、空室率が前年より上がりました(+1.60pt)。三鬼商事は、拠点の集約に伴う解約の影響と説明しています。ただし賃料は前年比+9.6%と上がっており、需要そのものが弱いというより、個別の大型解約の影響とみられます。
大阪 オフィス 2024年問題 大量供給 予測 空室率 6% 外れた グラングリーン大阪
2024年6月、日本不動産研究所は大阪のオフィス市場について、過去最大級の新規供給により空室率が2024年に6.3%まで上昇するとの予測を公表していました。2026年についても4.6%の見通しでした。実際の数字と比べると、大阪の需要の強さがよくわかります。
2024年:空室率 6.3%、賃料 −1.5%
2025年:空室率 5.7%
2026年:空室率 4.6%、賃料 +2.2%
(日本不動産研究所、2024年6月)
空室率 2.84%(6年ぶりの2%台)
賃料 前年比 +8.4%
梅田の賃料 前年比 +11.2%
(三鬼商事、2026年9月)
ニッセイ基礎研究所のレポート(2026年3月)は、需要が強かった理由として、大阪府の就業者数が2025年に481.6万人と3年連続で増えたこと、情報通信業の雇用が大きく伸びていること、そして企業が自社ビルからグラングリーン大阪などの新しい賃貸ビルへ移転していることを挙げています。人手不足の中で、企業が人材を集めるために、より良いオフィスへ移っているという構図です。
オフィス需要 住宅 賃貸需要 地価 関係 大阪 個人投資家 マンション
オフィスビルを買う個人投資家は多くありません。それでもオフィス市場を見る意味は、それが「人が集まる街かどうか」を最もよく映す指標だからです。
企業が大阪に拠点を広げ、人を採用すれば、その人たちが住む場所が必要になります。VOL.45で見た大阪市の家賃の上昇(前年比+10.1%)は、こうした就業者の増加と無関係ではありません。職場に近い都心・駅近の賃貸需要を支える土台です。
VOL.41で見た基準地価では、商業地の上昇率上位は西区・北区が独占しました。梅田周辺(北区)や本町・阿波座(西区)は、まさにオフィス需要が集まるエリアです。オフィスの空室率と賃料は、地価の先行きを考える手がかりにもなります。
オフィスビルそのものは高額ですが、J-REIT(不動産投資信託)を通じて少額から間接的に投資することもできます。ただし、J-REITは金利上昇の影響を受けやすく、VOL.42・VOL.44で見た利上げ局面では価格が変動しやすい点には注意が必要です。
9月の大阪ビジネス地区の平均空室率は2.84%、平均賃料は13,609円/坪(前年比+8.4%)でした。全6地区で賃料が上がり、梅田は空室率2.21%・賃料+11.2%、心斎橋・難波は空室率0.92%とほぼ満室です。
2024年には空室率が6%を超えるとの予測もありましたが、就業者の増加や自社ビルからの移転需要がそれを上回りました。2026年以降は新規供給が少なく、空室率の低さと賃料の上昇が続きやすい環境です。
企業と働く人が大阪に集まっていることは、家賃(VOL.45)や地価(VOL.41)の上昇とつながっています。オフィス市場は、大阪という街の「実力」を測る物差しです。一方で景気やエリアによる差もあり、全体の数字だけで判断しないことが大切です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。

上一篇:无