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大阪のオフィス空室率 6年ぶりの2%台へ ——「供給過剰」の予想は外れた

◆ 旭森観察室 · ASAHIMORI OBSERVATORY ◆
Office Market · VOL.46 · 2026.10.09
大阪のオフィス空室率
6年ぶりの2%台へ
——「供給過剰」の予想は外れた
🏢 大阪ビジネス地区 平均空室率(2026年9月)
2.84%
前月比 −0.26pt · 前年同月比 −0.83pt · 6年ぶりの2%台
平均賃料
13,609円
坪 · 前年比 +8.4%
梅田 空室率
2.21%
賃料 +11.2%
心斎橋・難波
0.92%
ほぼ満室
2024年、大阪では過去最大級のオフィス大量供給が予想され
空室率は6%を超えるとの見方もあった

——しかし2年後、空室率は逆に6年ぶりの低水準に
大阪のオフィス需要が示す「街の実力」を読み解く

大阪のオフィス市場が、予想を大きく上回る強さを見せています。

オフィス仲介大手の三鬼商事が公表した最新データ(9月時点)によると、大阪ビジネス地区(梅田・南森町・淀屋橋本町・船場・心斎橋難波・新大阪)の9月の平均空室率は2.84%となり、6年ぶりに2%台まで下がりました。平均賃料は1坪あたり13,609円で、前年同月比8.4%の上昇です。2024年前後には、グラングリーン大阪をはじめとする大型ビルの完成が相次ぎ、「供給過剰で空室が増える」との見方が広がっていました。実際には、その新しいビルが埋まり、空室率は下がり続けています。オフィスは個人投資家にとって遠い存在に見えるかもしれません。しかし、企業がどれだけ大阪に人と拠点を置くかは、住宅の賃貸需要や地価を支える土台です。本号では、オフィス市場の最新データから大阪の「街の実力」を読み解きます。

📊
Section 01 · The Data

大阪 オフィス 空室率 2026年9月 2.84% 平均賃料 13609円 三鬼商事 6年ぶり

最新データ:空室率は下がり、賃料は上がる
平均空室率2.84%(前月比 −0.26pt、前年同月比 −0.83pt)
平均賃料13,609円/坪(前月比 +83円、前年同月比 +1,060円・約+8.4%)
既存ビル空室率2.59%(前年同月比 −0.60pt)
新築ビル空室率19.98%(前月比 −13.11pt)

三鬼商事によると、9月は自社ビルから賃貸ビルへの大型移転が相次ぎ、新築ビルや既存ビルの大きな空室で成約が進みました。新築ビルの空室率は1カ月で13ポイント以上下がっています。企業が古い自社ビルを出て、設備の新しい賃貸ビルへ移る動きが、大阪の需要を押し上げている形です。

💡 東京との比較:同じ9月、東京都心5区の平均空室率は1.85%、平均賃料は23,985円/坪(前年比+13.72%)でした。賃料の水準では東京が大阪の約1.8倍ですが、空室率はどちらも歴史的な低水準です。日本の二大都市で、オフィスの「空き」がほとんどない状態が続いています。
🗺️
Section 02 · By District

大阪 オフィス 地区別 空室率 梅田 心斎橋 難波 淀屋橋 本町 船場 南森町 新大阪

地区別:梅田の賃料は1年で11%上昇
大阪ビジネス地区 地区別(2026年9月)
地区
空室率
賃料(円/坪)
賃料 前年比
梅田
2.21%
18,850
+11.2%
心斎橋・難波
0.92%
13,491
+4.0%
淀屋橋・本町
2.97%
12,815
+5.8%
南森町
3.13%
10,014
+5.0%
船場
3.80%
11,717
+10.3%
新大阪
4.11%
13,302
+9.6%

6地区すべてで賃料が前年を上回りました。最も伸びたのは梅田で、空室率は2.21%まで下がり、賃料は1年で11.2%上がって18,850円/坪となりました。心斎橋・難波は空室率0.92%と、ほぼ満室の状態です。船場も賃料が10.3%上がっています。

一方、新大阪は唯一、空室率が前年より上がりました(+1.60pt)。三鬼商事は、拠点の集約に伴う解約の影響と説明しています。ただし賃料は前年比+9.6%と上がっており、需要そのものが弱いというより、個別の大型解約の影響とみられます。

🔮
Section 03 · Forecast vs Reality

大阪 オフィス 2024年問題 大量供給 予測 空室率 6% 外れた グラングリーン大阪

予想と現実:「2024年問題」はなぜ起きなかったか

2024年6月、日本不動産研究所は大阪のオフィス市場について、過去最大級の新規供給により空室率が2024年に6.3%まで上昇するとの予測を公表していました。2026年についても4.6%の見通しでした。実際の数字と比べると、大阪の需要の強さがよくわかります。

▼ 2024年時点の予測
  • 2024年:空室率 6.3%、賃料 −1.5%

  • 2025年:空室率 5.7%

  • 2026年:空室率 4.6%、賃料 +2.2%

  • (日本不動産研究所、2024年6月)

▲ 2026年9月の実績
  • 空室率 2.84%(6年ぶりの2%台)

  • 賃料 前年比 +8.4%

  • 梅田の賃料 前年比 +11.2%

  • (三鬼商事、2026年9月)

ニッセイ基礎研究所のレポート(2026年3月)は、需要が強かった理由として、大阪府の就業者数が2025年に481.6万人と3年連続で増えたこと、情報通信業の雇用が大きく伸びていること、そして企業が自社ビルからグラングリーン大阪などの新しい賃貸ビルへ移転していることを挙げています。人手不足の中で、企業が人材を集めるために、より良いオフィスへ移っているという構図です。

💡 この先は「供給が少ない」局面へ:同レポートによると、大阪の新規供給は2025年の約3.2万坪に対し、2026年は約1万坪、2027年以降は大規模な竣工予定がないとされています。建築費の高騰で新しいビルが建ちにくくなる中、需要が続けば、空室率は低く、賃料は上がりやすい状態が続くことになります。同レポートは、大阪の成約賃料が2030年に2025年比で約11%上昇すると予測しています。
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Section 04 · Why It Matters

オフィス需要 住宅 賃貸需要 地価 関係 大阪 個人投資家 マンション

なぜ住宅投資家にも関係があるのか

オフィスビルを買う個人投資家は多くありません。それでもオフィス市場を見る意味は、それが「人が集まる街かどうか」を最もよく映す指標だからです。

🔍 オフィス需要と住宅投資をつなぐ3つの線
👥
働く人が増えれば、住む人も増える
企業が大阪に拠点を広げ、人を採用すれば、その人たちが住む場所が必要になります。VOL.45で見た大阪市の家賃の上昇(前年比+10.1%)は、こうした就業者の増加と無関係ではありません。職場に近い都心・駅近の賃貸需要を支える土台です。
📍
オフィスが強い街は、地価も強い
VOL.41で見た基準地価では、商業地の上昇率上位は西区・北区が独占しました。梅田周辺(北区)や本町・阿波座(西区)は、まさにオフィス需要が集まるエリアです。オフィスの空室率と賃料は、地価の先行きを考える手がかりにもなります。
🏦
少額で関わる方法もある
オフィスビルそのものは高額ですが、J-REIT(不動産投資信託)を通じて少額から間接的に投資することもできます。ただし、J-REITは金利上昇の影響を受けやすく、VOL.42・VOL.44で見た利上げ局面では価格が変動しやすい点には注意が必要です。
⚠️ 注意しておきたい点:オフィス需要は景気に左右されます。ニッセイ基礎研究所も、ハイブリッドワークの広がりや企業のコスト削減が需要を弱める可能性を指摘しています。また、同レポートの時点(2026年3月)では、南森町や淀屋橋・本町、小型ビルで空室率がやや上がっていました。全体の数字が良くても、エリアやビルの規模によって差があることは押さえておく必要があります。
💡
Section 05 · Conclusion
旭森観察室 VOL.46 の3つの結論
💡 結論①:大阪のオフィス空室率は6年ぶりの2%台、賃料は8.4%上昇
9月の大阪ビジネス地区の平均空室率は2.84%、平均賃料は13,609円/坪(前年比+8.4%)でした。全6地区で賃料が上がり、梅田は空室率2.21%・賃料+11.2%、心斎橋・難波は空室率0.92%とほぼ満室です。
💡 結論②:「供給過剰」の予想は外れ、需要が新しいビルを埋めた
2024年には空室率が6%を超えるとの予測もありましたが、就業者の増加や自社ビルからの移転需要がそれを上回りました。2026年以降は新規供給が少なく、空室率の低さと賃料の上昇が続きやすい環境です。
💡 結論③:オフィスの強さは、大阪の住宅と地価を支える土台
企業と働く人が大阪に集まっていることは、家賃(VOL.45)や地価(VOL.41)の上昇とつながっています。オフィス市場は、大阪という街の「実力」を測る物差しです。一方で景気やエリアによる差もあり、全体の数字だけで判断しないことが大切です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。
【主な出典】三鬼商事「大阪ビジネス地区 オフィスマーケット」2026年9月時点・「東京ビジネス地区 オフィスマーケット」2026年9月時点/ニッセイ基礎研究所「『大阪オフィス市場』の現況と見通し(2026年)」(2026年3月23日)/日本不動産研究所「東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測」(2024年6月5日)
ASAHIMORI · 旭森不動産
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言・売買の勧誘、また特定の地域・物件・金融商品への投資を推奨するものではありません。掲載のオフィス市場データは三鬼商事等の公表資料(2026年9月時点)に基づく参考情報で、同社の調査対象ビルの集計値です。予測は各機関の公表時点の見通しであり、将来の空室率・賃料・不動産価格を保証するものではありません。J-REITを含む投資には価格変動リスクがあります。最終判断は、専門家にご相談の上、ご自身の責任で行ってください。