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大阪の家賃は1年で+10% ——それでも 利回りは下がっている

◆ 旭森観察室 · ASAHIMORI OBSERVATORY ◆
Rent Report · VOL.45 · 2026.10.05
大阪の家賃は1年で+10%
——それでも
利回りは下がっている
🏠 大阪市 分譲マンション賃料(2026年8月)
3,427円/㎡
前年同月比 +10.1% · 70㎡換算で月約24万円
上昇率は東京23区(+6.4%)を上回る
家賃の上昇
+10.1%
前年同月比
中古価格の上昇
+23.5%
前年同月比
表面利回り(試算)
約4.4%
1年前 約4.9%
大阪市の家賃は1年で1割上がり、上昇率では東京を上回った
しかし同じ期間に、マンション価格はその2倍以上のペースで上がった

——家賃と価格のギャップは何を意味するのか
投資家にとって最も大切な「収益」の数字を読み解く

不動産投資の収益の源泉は、最終的には「家賃」です。

VOL.41では地価、VOL.43ではマンション価格を見てきました。本号では、投資家の収入そのものである家賃を取り上げます。東京カンテイが9月16日に公表した分譲マンション賃料によると、大阪市は8月に1㎡あたり3,427円となり、前年同月比で10.1%上昇しました。上昇率は東京23区(+6.4%)を上回っています。家賃が順調に上がっていることは、投資家にとって明るい材料です。ただし、同じ期間に中古マンション価格は23.5%上がっており、家賃の上昇は価格の上昇に追いついていません。その結果、物件価格に対する家賃の割合、つまり利回りは下がっています。本号では、家賃の最新データと、家賃と価格のギャップが投資家に意味することを整理します。

📈
Section 01 · Osaka Rents

大阪市 分譲マンション 賃料 2026年8月 東京カンテイ 3427円 前年比 10.1% 推移

大阪市の家賃:1年で1割上昇、6月にピーク

東京カンテイの分譲マンション賃料(分譲マンションが賃貸に出された際の募集賃料)を見ると、大阪市は1年前の3,114円/㎡から3,427円/㎡へと上がりました。70㎡の住戸に換算すると、月額は約21.8万円から約24.0万円へ、約2.2万円の上昇です。

大阪市 分譲マンション賃料の推移円/㎡ · 目盛りは3,000円起点
2025年8月3,114
9月3,118
10月3,100
11月3,156
12月3,179
2026年1月3,235
2月3,326
3月3,394
4月3,482
5月3,508
6月3,519
7月3,425
8月3,427

推移を見ると、2025年秋までは3,100円前後で横ばいでしたが、2026年に入ってから急上昇し、6月に3,519円のピークをつけました。7月は前月比−2.7%と9カ月ぶりに下落し、8月は+0.1%とほぼ横ばいです。

💡 下がったのは「新しい物件」:東京カンテイは、大阪市について「築5年以内」の物件でピークアウトからの調整が進む一方、それ以外の築年帯は高い水準でやや強含んでいると分析しています。高い家賃で募集された新築・築浅物件で家賃の伸びが止まりつつある一方、中古の築年帯の家賃は底堅い——という構図です。VOL.43で見た「都心中心部の価格の足踏み」と同じく、「最も高いところから伸びが止まる」動きといえます。
🗾
Section 02 · Comparison

分譲マンション 賃料 比較 東京23区 大阪市 近畿圏 神戸市 上昇率 2026年8月

他の都市と比べる:上昇率では大阪が東京を上回る
KANTEI · 分譲マンション賃料(2026年8月)
エリア
円/㎡
前月比
前年同月比
首都圏
4,242
+0.8%
+10.0%
東京23区
5,170
+0.3%
+6.4%
近畿圏
2,479
−0.3%
+10.2%
大阪府
2,900
−0.2%
+12.8%
大阪市
3,427
+0.1%
+10.1%
兵庫県
1,899
−0.2%
+3.9%
神戸市
2,068
−0.4%
+5.2%

家賃の水準では、東京23区(5,170円/㎡)が大阪市(3,427円/㎡)の約1.5倍です。一方、1年間の上昇率では大阪市の+10.1%が東京23区の+6.4%を上回りました。近畿圏全体では8月に前月比−0.3%と主要エリアがそろって弱含みましたが、前年同月比では+10.2%と高い伸びが続いています。

アットホームの募集家賃調査(9月28日公表)でも、大阪市の賃貸マンションは8月にすべての面積帯で前年同月を上回りました。分譲・賃貸専用を問わず、大阪市の家賃が幅広く上がっていることがわかります。

🧮
Section 03 · Yield Gap

大阪市 マンション 表面利回り 低下 家賃 価格 ギャップ 試算 2026

家賃と価格のギャップ:利回りは約0.5ポイント低下

家賃が10%上がっても、物件価格が23.5%上がれば、価格に対する家賃の割合は下がります。VOL.43で見た東京カンテイの中古マンション価格(70㎡換算)と、今回の賃料データを組み合わせて、大阪市の表面利回りを試算しました。

大阪市 70㎡換算の表面利回り(当社試算)
時点
年間家賃
物件価格
表面利回り
2025年8月
約262万円
約5,298万円
約4.9%
2026年8月
約288万円
6,543万円
約4.4%
東京23区(26年8月)
約434万円
12,677万円
約3.4%

1年間で年間家賃は約26万円増えましたが、物件価格は約1,245万円上がりました。その結果、表面利回りは約4.9%から約4.4%へ、約0.5ポイント下がっています。東京23区の約3.4%と比べれば大阪市はまだ高い水準ですが、差は縮まりつつあります。

⚠️ 金利と利回りの差が縮んでいる:VOL.42・VOL.44で見たように、日本の10年国債利回りは3%前後まで上がり、政策金利は1.25%になりました。表面利回り4.4%から、管理費・修繕積立金・固定資産税などの経費や空室を差し引くと、実質の利回りはさらに低くなります。借入金利が上がれば、手元に残るお金(イールドギャップ)は一段と薄くなります。「家賃が上がっているから安心」とは言い切れない状況です。
💡 試算の前提:賃料・価格はいずれも東京カンテイの70㎡換算値で、賃料は分譲マンションの募集賃料、価格は中古マンションの売り希望価格です。成約ベースの数字ではなく、二つの別々の統計を組み合わせた参考値です。2025年8月の価格は、2026年8月の価格と前年同月比(+23.5%)から逆算しています。個別の物件の利回りは、立地・築年数・管理状態によって大きく異なります。
🎯
Section 04 · For Investors

在日華人 大阪 賃貸経営 家賃 値上げ 利回り 投資判断 中古 築年数

在日華人投資家はこのデータをどう読むか
🔍 家賃データから読み取れる3つの視点
🏠
すでに持っている人には追い風
大阪市の家賃は1年で1割上がりました。すでに物件を保有している方にとっては、入居者の入れ替えや更新のタイミングで家賃を見直す余地が広がっています。周辺の募集家賃を定期的に確認し、相場とかけ離れていないかを見ておくことが大切です。
📉
これから買う人は「利回り」で冷静に
家賃の上昇より価格の上昇が大きいため、今買う物件の利回りは1年前より低くなっています。「家賃が上がっているから大丈夫」ではなく、購入価格に対して今の家賃で収支が成り立つかを、経費と金利を含めて試算することが欠かせません。
🏢
築年数によって家賃の動きが違う
大阪市では築5年以内の物件の家賃が調整に入る一方、それ以外の築年帯は高い水準を保っています。新築・築浅は価格も家賃も高く、伸びしろが限られつつあります。価格が比較的落ち着いた中古物件で、安定した家賃を得るという考え方が、利回りの面では合理的になりつつあります。
💡
Section 05 · Conclusion
旭森観察室 VOL.45 の3つの結論
💡 結論①:大阪市の家賃は1年で10.1%上昇、東京を上回るペース
大阪市の分譲マンション賃料は8月に3,427円/㎡、前年同月比+10.1%と、東京23区の+6.4%を上回りました。70㎡換算で月約24万円です。ただし6月の3,519円をピークに、7〜8月は足踏みしています。
💡 結論②:価格の上昇が家賃を上回り、利回りは低下
同じ1年間で中古マンション価格は23.5%上がりました。当社試算では、大阪市の表面利回りは約4.9%から約4.4%へ下がっています。金利が上がる中で、利回りと金利の差は縮まりつつあります。
💡 結論③:「家賃が上がる」と「投資として有利」は別の話
家賃の上昇は保有者には追い風ですが、これから買う人にとっては、価格との比較で冷静に判断することが重要です。新築・築浅より、価格と家賃のバランスが取れた中古物件に目を向けることも一案です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。
【主な出典】東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」2026年7月分(8月17日)・8月分(9月16日)/東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」2026年8月分(9月24日)/アットホーム「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向(2026年8月)」(9月28日)/R.E.port「賃貸マンション募集家賃、11エリアが前年上回る」(9月28日)。表面利回りは当社試算。
ASAHIMORI · 旭森不動産
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言・売買の勧誘、また特定の地域・物件への投資を推奨するものではありません。掲載の賃料・価格データは東京カンテイ・アットホーム等の公表資料(2026年9月時点)に基づく参考情報であり、いずれも募集賃料・売り希望価格をもとにした数値で、実際の成約賃料・成約価格とは異なります。表面利回りは二つの統計を組み合わせた当社の簡易試算であり、経費・空室・税金等を考慮していません。個別物件の収益や将来の家賃・価格の動向を保証するものではありません。不動産投資に関する最終判断は、専門家にご相談の上、ご自身の責任で行ってください。