大阪の家賃は1年で+10% ——それでも 利回りは下がっている
不動産投資の収益の源泉は、最終的には「家賃」です。
VOL.41では地価、VOL.43ではマンション価格を見てきました。本号では、投資家の収入そのものである家賃を取り上げます。東京カンテイが9月16日に公表した分譲マンション賃料によると、大阪市は8月に1㎡あたり3,427円となり、前年同月比で10.1%上昇しました。上昇率は東京23区(+6.4%)を上回っています。家賃が順調に上がっていることは、投資家にとって明るい材料です。ただし、同じ期間に中古マンション価格は23.5%上がっており、家賃の上昇は価格の上昇に追いついていません。その結果、物件価格に対する家賃の割合、つまり利回りは下がっています。本号では、家賃の最新データと、家賃と価格のギャップが投資家に意味することを整理します。
大阪市 分譲マンション 賃料 2026年8月 東京カンテイ 3427円 前年比 10.1% 推移
東京カンテイの分譲マンション賃料(分譲マンションが賃貸に出された際の募集賃料)を見ると、大阪市は1年前の3,114円/㎡から3,427円/㎡へと上がりました。70㎡の住戸に換算すると、月額は約21.8万円から約24.0万円へ、約2.2万円の上昇です。
推移を見ると、2025年秋までは3,100円前後で横ばいでしたが、2026年に入ってから急上昇し、6月に3,519円のピークをつけました。7月は前月比−2.7%と9カ月ぶりに下落し、8月は+0.1%とほぼ横ばいです。
分譲マンション 賃料 比較 東京23区 大阪市 近畿圏 神戸市 上昇率 2026年8月
家賃の水準では、東京23区(5,170円/㎡)が大阪市(3,427円/㎡)の約1.5倍です。一方、1年間の上昇率では大阪市の+10.1%が東京23区の+6.4%を上回りました。近畿圏全体では8月に前月比−0.3%と主要エリアがそろって弱含みましたが、前年同月比では+10.2%と高い伸びが続いています。
アットホームの募集家賃調査(9月28日公表)でも、大阪市の賃貸マンションは8月にすべての面積帯で前年同月を上回りました。分譲・賃貸専用を問わず、大阪市の家賃が幅広く上がっていることがわかります。
大阪市 マンション 表面利回り 低下 家賃 価格 ギャップ 試算 2026
家賃が10%上がっても、物件価格が23.5%上がれば、価格に対する家賃の割合は下がります。VOL.43で見た東京カンテイの中古マンション価格(70㎡換算)と、今回の賃料データを組み合わせて、大阪市の表面利回りを試算しました。
1年間で年間家賃は約26万円増えましたが、物件価格は約1,245万円上がりました。その結果、表面利回りは約4.9%から約4.4%へ、約0.5ポイント下がっています。東京23区の約3.4%と比べれば大阪市はまだ高い水準ですが、差は縮まりつつあります。
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大阪市の家賃は1年で1割上がりました。すでに物件を保有している方にとっては、入居者の入れ替えや更新のタイミングで家賃を見直す余地が広がっています。周辺の募集家賃を定期的に確認し、相場とかけ離れていないかを見ておくことが大切です。
家賃の上昇より価格の上昇が大きいため、今買う物件の利回りは1年前より低くなっています。「家賃が上がっているから大丈夫」ではなく、購入価格に対して今の家賃で収支が成り立つかを、経費と金利を含めて試算することが欠かせません。
大阪市では築5年以内の物件の家賃が調整に入る一方、それ以外の築年帯は高い水準を保っています。新築・築浅は価格も家賃も高く、伸びしろが限られつつあります。価格が比較的落ち着いた中古物件で、安定した家賃を得るという考え方が、利回りの面では合理的になりつつあります。
大阪市の分譲マンション賃料は8月に3,427円/㎡、前年同月比+10.1%と、東京23区の+6.4%を上回りました。70㎡換算で月約24万円です。ただし6月の3,519円をピークに、7〜8月は足踏みしています。
同じ1年間で中古マンション価格は23.5%上がりました。当社試算では、大阪市の表面利回りは約4.9%から約4.4%へ下がっています。金利が上がる中で、利回りと金利の差は縮まりつつあります。
家賃の上昇は保有者には追い風ですが、これから買う人にとっては、価格との比較で冷静に判断することが重要です。新築・築浅より、価格と家賃のバランスが取れた中古物件に目を向けることも一案です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。
