新築は33年ぶりの品薄 中古は大阪市21ヵ月連続上昇 ——ただし都心に「小さな変化」
大阪のマンション価格は、まだ上がっています。ただ、上がり方が変わり始めました。
不動産経済研究所は9月17日、近畿圏の8月の新築分譲マンション市場動向を公表しました。発売戸数は517戸と前年同月から4割以上減り、8月としては1993年以来の低水準です。一方で平均価格は5,947万円と9.2%上昇しました。続く9月24日には東京カンテイが中古マンション価格(70㎡換算)を公表。大阪市は6,543万円で21ヵ月連続の上昇となりましたが、中心6区は前月比で続落し、東京23区は3ヵ月連続で下落しています。VOL.41では地価、VOL.42では金利を見てきました。本号では、投資家にとって最も身近な「マンション価格」の最新データを整理します。
近畿圏 新築マンション 2026年8月 発売戸数 517戸 平均価格 5947万円 契約率 不動産経済研究所
8月の発売戸数は517戸にとどまり、8月としては1993年(502戸)以来の少なさでした。9月も1,000戸程度と前年を大きく下回る見込みで、供給の細りは一時的なものではなさそうです。背景には、VOL.41でも触れた建築費の高騰と用地価格の上昇があります。「建てても採算が合いにくい」ため、デベロッパーが供給を絞っている構図です。
一方、価格は上がり続けています。平均価格・㎡単価ともに3ヵ月連続の上昇です。ただし初月契約率は67.3%で、好不調の目安とされる70%を下回りました。「高くても売れる」から「高いと売れにくい」へ、買い手の反応にはやや慎重さも見え始めています。
近畿圏 新築マンション 地域別 大阪市部 大阪府下 京都市部 神戸市部 ㎡単価 契約率
地域別に見ると、大阪市部は182戸を供給し、初月契約率は82.4%と近畿圏で最も高い水準の一つでした。㎡単価は114.0万円です。平均価格が5,210万円と府下(6,471万円)より低いのは、住戸が小さいためです。平均価格を㎡単価で割ると、大阪市部の平均面積は約46㎡、府下は約68㎡となり、大阪市部ではコンパクトな住戸が中心だったことがわかります。
大阪市 中古マンション 価格 2026年8月 東京カンテイ 70㎡ 6543万円 21ヵ月連続上昇 中心6区
東京カンテイの中古マンション価格(70㎡換算、売り希望価格ベース)を見ると、大阪市は8月に6,543万円となり、前年同月比+23.5%、21ヵ月連続の上昇でした。1年前と比べて2割以上高い水準です。
注目したいのは大阪市中心6区です。価格は9,465万円で、前月比−0.3%と7月(−0.1%)に続いて下落しました。前年同月比の上昇率も、7月の+15.9%から8月は+13.4%へ縮んでいます。東京カンテイは「大阪市中心部で価格トレンドにやや弱さも出始めている」とし、都心の価格調整が周辺へ広がりつつあると分析しています。
大阪 マンション価格 今後 頭打ち 調整 東京 先行 周辺区 金利上昇
今回のデータを並べると、ひとつの流れが見えてきます。
大阪市全体の中古価格(21ヵ月連続上昇)
新築の平均価格(3ヵ月連続上昇)
大阪市部の新築契約率(82.4%)
新築の供給不足(33年ぶりの少なさ)
大阪市中心6区の中古が前月比で続落
近畿圏の新築契約率は70%割れ
東京23区の中古は3ヵ月連続下落
政策金利は1.25%へ(VOL.42)
価格が上がりきった都心の中心部では買い手がつきにくくなり、需要が相対的に割安な周辺エリアへ移っている——東京カンテイが指摘する「都心の調整が周辺へ広がる」動きは、VOL.41で見た地価の傾向とも重なります。地価でも、上昇率のトップは中央区・北区の一等地ではなく、西区・福島区・天王寺区といった「一等地の周辺」でした。
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新築の供給が細り価格が上がるほど、比較対象となる中古の需要は底堅くなります。建築費の高止まりが続く限り、「新築は高くて少ない」状況は簡単には変わらず、駅近の中古物件にとっては下支え要因です。
中心6区の足踏みは、すでに高値圏にある物件ほど上値が重くなっていることを示しています。これから買うなら、価格の伸びしろよりも、賃料で収支が成り立つかどうかをより厳しく見る必要があります。
価格が一方向に上がり続ける局面では「今買わないと高くなる」という焦りが生まれがちです。上昇ペースが落ち着き始めた今は、条件の良い物件を落ち着いて選べる余地が広がりつつあると見ることもできます。
近畿圏の8月の新築発売は517戸と8月として1993年以来の低水準。平均価格は5,947万円(+9.2%)と3ヵ月連続で上がりました。ただし初月契約率は67.3%と70%を下回り、高値への買い手の反応には慎重さも見えます。
大阪市の中古マンションは6,543万円(前年比+23.5%)と上昇が続く一方、中心6区は前月比で2ヵ月続落し、前年比の伸びも縮みました。都心の調整が周辺へ広がる動きは、地価の傾向とも一致します。
東京23区の中古は3ヵ月連続で下落し、首都圏の新築平均価格も前年を下回りました。大阪はまだ上昇していますが、金利上昇(VOL.42)も重なり、「どこでも上がる」から「選ばれる物件だけが上がる」段階へ移りつつあります。立地と賃料で収支が成り立つかを見極めることが、これまで以上に重要です。旭森観察室は、引き続き一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。

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