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2026年基準地価速報 ——大阪の商業地は 東京に次ぐ全国2位へ

◆ 旭森観察室 · ASAHIMORI OBSERVATORY ◆
LAND PRICE REPORT · VOL.41 · 2026.09.22
2026年基準地価速報
——大阪の商業地は
東京に次ぐ全国2位へ

📍 大阪府 商業地 平均変動率(2026年7月1日時点)


+8.8%
前年+7.9% → 上昇幅拡大 · 5年連続上昇 · 下落地点ゼロ
府 住宅地
+3.0%
前年+2.7%
大阪市 商業地
+12.3%
前年+11.1%
大阪市 住宅地
+6.7%
前年+6.1%
9月15〜16日、国と大阪府が2026年の基準地価を公表
大阪は住宅地・商業地・工業地のすべてで上昇幅が拡大

——しかし府内を細かく見ると、はっきりした「二極化」がある
一次データから、どこが上がり、どこが取り残されたのかを読み解く

利上げ後も、大阪都心の地価は「加速」していました。

国土交通省は9月15日、大阪府は9月16日に、2026年の基準地価(都道府県地価調査、7月1日時点)を公表しました。3月の公示地価(1月1日時点)を半年後に補完する、年2回の「地価の健康診断」の後半戦です。結果は明快でした。大阪府の商業地は+8.8%と東京都(+11.4%)に次ぐ全国2位、住宅地も+3.0%と上昇幅が広がりました。大阪市に限れば商業地+12.3%、住宅地+6.7%です。一方で、府南部では住宅地の下落が続き、全国では福岡・札幌など地方4市の伸びが鈍っています。本号では、大阪府の報道発表資料を中心とした一次データをもとに、「どこが上がったのか」「何が二極化しているのか」を整理します。

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SECTION 01 · NATIONWIDE

基準地価 2026 全国 5年連続上昇 三大都市圏 地方4市 縮小

全国の全体像:5年連続上昇、ただし勢いに差

全国平均は全用途+1.5%、住宅地+1.0%、商業地+2.9%で、いずれも5年連続のプラスとなりました。東京圏と大阪圏は上昇幅が拡大した一方、名古屋圏は上昇を続けながらも伸びがやや縮小。札幌・仙台・広島・福岡の地方4市は、2023年をピークに伸び率が縮小しています。

全国 全用途+1.5%(前年と同水準・5年連続)
全国 商業地+2.9%(前年+2.8% → 拡大)
東京圏・大阪圏住宅地・商業地とも上昇幅拡大
名古屋圏上昇継続も伸びは縮小
地方4市伸び率 5.3%→4.1%(報道ベース)

都道府県別の商業地を並べると、大阪の位置がよくわかります。2ケタ上昇は東京都だけで、大阪府はそれに次ぐ2番手です。

商業地 都道府県別 変動率 上位52026年7月1日時点
1東京都11.4%
2大阪府8.8%
3神奈川県7.2%
4沖縄県6.9%
5京都府5.6%
💡 地方が鈍り、東京・大阪が伸びる理由:日経は、建築費の高騰で地方の再開発の中止・延期が相次いでいると報じています。JR九州は博多駅の複合ビル計画を建築費がほぼ倍増したことで中止しました。地方では賃料の上昇が建築費を吸収しきれない一方、東京・大阪の都心は賃料と需要が追いついている——これが「大都市への集中」を生んでいる構図です。VOL.40で触れた「作るより買う方が安い」構造の、国内版といえます。
📈
SECTION 02 · OSAKA PREFECTURE

大阪府 地価調査 令和8年 住宅地 商業地 工業地 推移

大阪府の数字:3用途すべてで上昇幅が拡大

大阪府の住宅地は+3.0%で5年連続、商業地は+8.8%で5年連続、工業地は+7.2%で11年連続の上昇です。コロナ禍でマイナスに沈んだ2020〜21年から、毎年着実に上昇幅を広げてきたことが推移表から読み取れます。

OSAKA PREF. · 基準地価 平均変動率の推移
調査年
住宅地
商業地
工業地
2020(令和2)
−0.3%
+1.8%
+0.3%
2021(令和3)
−0.2%
−0.9%
+0.6%
2022(令和4)
+0.4%
+1.6%
+2.1%
2023(令和5)
+1.3%
+4.3%
+3.2%
2024(令和6)
+2.0%
+7.3%
+5.2%
2025(令和7)
+2.7%
+7.9%
+5.9%
2026(令和8)
+3.0%
+8.8%
+7.2%
商業地の継続地点162地点中 上昇160(98.8%)・下落0
工業地の継続地点39地点中 上昇39(100%)
住宅地の継続地点479地点中 上昇382(79.7%)・下落52(10.9%)

大阪府は上昇の要因として、インバウンド需要による大阪市中心部や収益物件を中心とした路線商業地域の上昇率拡大、そして都心の駅前などでマンション・オフィス用地に対する国内外の投資需要が高いことを挙げています。

💡 利上げ局面でも「加速」:日銀は6月に政策金利を1.0%へ引き上げました(本シリーズで繰り返し取り上げてきた転換点です)。今回の価格時点は7月1日で、利上げの影響が地価に表れるにはまだ時間がかかる点には注意が必要です。それでも、少なくとも2026年前半の時点で大阪の地価に減速の兆候は見られず、むしろ3用途すべてで上昇幅が広がっていた——これは記録しておくべき事実です。
🏙️
SECTION 03 · OSAKA CITY WARDS

大阪市 区別 地価 上昇率 西区 福島区 北区 天王寺区 中央区

大阪市の区別ランキング:商業は西区、住宅は天王寺区

大阪市平均は住宅地+6.7%(前年+6.1%)、商業地+12.3%(前年+11.1%)、工業地+9.1%(前年+8.0%)。府平均の2倍前後のペースで上昇しています。区別に見ると、商業地と住宅地で主役が異なります。

商業地 区別変動率 上位5大阪市
1西区18.7%
2福島区16.8%
3北区15.6%
4浪速区15.4%
5中央区15.0%
住宅地 区別変動率 上位5大阪市
1天王寺区10.7%
2中央区9.6%
3福島区9.3%
4浪速区9.0%
4都島区9.0%
💡 「一等地の周辺」が伸びている:価格水準の頂点は中央区・北区ですが、上昇率のトップは西区(商業)と天王寺区(住宅)。福島区は商業・住宅の両方で上位3位に入りました。梅田・本町・難波といった核に隣接し、まだ価格水準に伸びしろがあった「一等地の周辺エリア」に資金が流れている構図です。天王寺区は前年+7.6%から+10.7%へと、住宅地で最も大きく加速した区でもあります。
📌
SECTION 04 · SPOT DATA

大阪 基準地価 上昇率1位 大淀南 立売堀 中之島 最高価格 宗右衛門町 真法院町

地点で見る:上昇率トップ10はすべて西区・北区

商業地の上昇率上位10地点は、すべて大阪市西区と北区が占めました。上位5地点は次の通りです。

+21.8%
北区大淀南1丁目(梅田の西側)
193万円→235万円/㎡ · 府内全用途の上昇率1位
+20.0%
西区立売堀1丁目(本町・阿波座)
175万円→210万円/㎡
+19.7%
北区中之島5丁目(中之島西部)
295万円→353万円/㎡
+19.2%
西区阿波座2丁目
214万円→255万円/㎡
+19.1%
西区北堀江2丁目(堀江)
220万円→262万円/㎡

住宅地では天王寺区が圧倒的です。上昇率1位の天王寺区真法院町(+11.2%、87.4万円/㎡)は府内住宅地の最高価格地点でもあり、上昇率の上位4地点のうち3地点を天王寺区が占めました(残る1地点は中央区上町)。上町台地の文教・住宅エリアへの評価の高さがうかがえます。

商業地 最高価格中央区宗右衛門町 2,580万円/㎡(+7.1%)· 全国6位
商業地 2位北区大深町(グランフロント大阪南館)2,490万円/㎡(+1.6%)· 全国7位
住宅地 最高価格天王寺区真法院町 87.4万円/㎡(+11.2%)
工業地 上昇率1位住之江区柴谷 +13.7%(湾岸物流需要)
💡 ミナミがキタを逆転:商業地の最高価格は、グランフロント大阪のある北区大深町から、道頓堀・戎橋エリアの中央区宗右衛門町へ入れ替わりました。大深町の上昇率が+1.6%にとどまったのに対し、宗右衛門町は+7.1%。インバウンドの回遊の中心であるミナミの強さが、価格の順位にも表れた形です。
⚖️
SECTION 05 · POLARIZATION

大阪府 地価 二極化 南大阪 下落 岬町 千早赤阪村 能勢町

見落とせない現実:府内で進む「二極化」

府平均の数字だけを見ると「大阪全体が上がっている」ように見えますが、住宅地では府内52地点が下落しています。地域別の住宅地変動率を並べると、その差は歴然です。

▲ 上昇が加速する側(住宅地)
  • 大阪市平均 +6.7%

  • 天王寺区 +10.7%/中央区 +9.6%

  • 吹田市 +5.0%/茨木市 +5.0%

  • 堺市平均 +3.2%

▼ 取り残される側(住宅地)
  • 南河内地域平均 +0.4%

  • 岬町 −2.2%(地点では−4.2%)

  • 千早赤阪村 −1.8%

  • 能勢町 −1.1%/泉南市 −0.8%

大阪府自身も、大阪市・堺市・北大阪の利便性に優れるエリアは上昇が続く一方、交通の利便性に劣るエリアでは一部で下落率が縮小しつつも下落が続いていると分析しています。同じ「大阪府の物件」でも、立地によって資産価値の行方はまったく違うということです。

⚠️ 「大阪は上がっている」を鵜呑みにしない:平均値は、都心の大幅上昇と郊外の下落を足して割った数字にすぎません。駅から遠い郊外・人口減少エリアの物件は、府全体が上昇局面でも値下がりし得ます。「大阪」という括りではなく、「どの区の、どの駅の、徒歩何分か」で判断することが、これまで以上に重要になっています。
🎯
SECTION 06 · FOR INVESTORS

在日華人 大阪 不動産投資 基準地価 読み方 注意点

在日華人投資家はこの結果をどう読むか
🔍 2026年基準地価から読み取れる3つの視点
🚉
「都心駅近」の優位は数字で裏付けられた
旭森観察室が一貫して伝えてきた「大阪都心×駅近」という軸は、今回のデータでも最も強い上昇を示したエリアと重なります。逆に、郊外の下落は「安いから」という理由だけで選ぶリスクを示しています。
🧭
「一等地の隣」に注目が集まる
西区・福島区・天王寺区のように、核となる商業地に隣接しながら価格水準に余地があったエリアが伸びています。ただし上昇率が高いということは、すでに価格に織り込まれた部分も大きいということでもあります。
📉
地価上昇=利回り低下でもある
地価が上がれば物件価格も上がりやすく、家賃が同じペースで上がらなければ表面利回りは下がります。地価は「土地」の指標であり、区分マンションの価格や家賃とは連動の仕方が異なる点にも注意が必要です。
💡 地価データの正しい使い方:基準地価・公示地価は、特定の物件の価値を示すものではなく、エリアの「方向感」をつかむための指標です。気になるエリアがあれば、国土交通省「不動産情報ライブラリ」や大阪市「マップナビおおさか」で最寄りの基準地・標準地の推移を確認し、実際の成約事例や賃料相場と照らし合わせることをおすすめします。
💡
SECTION 07 · CONCLUSION
旭森観察室 VOL.41 の3つの結論
💡 結論①:大阪の地価は「減速」ではなく「加速」していた
大阪府の商業地+8.8%(前年+7.9%)、住宅地+3.0%(前年+2.7%)、工業地+7.2%(前年+5.9%)。3用途すべてで上昇幅が拡大し、商業地は東京に次ぐ全国2位。大阪市では商業地+12.3%、住宅地+6.7%と、府平均の約2倍のペースです。
💡 結論②:主役は「一等地の周辺」——西区・福島区・天王寺区
商業地の上昇率上位10地点はすべて西区・北区。区別では商業地の西区+18.7%、住宅地の天王寺区+10.7%が首位で、福島区は両方で上位に入りました。価格の頂点はミナミの宗右衛門町へと移り、インバウンドの強さを映しています。
💡 結論③:「大阪」ではなく「どこの大阪か」で判断する時代
府内では住宅地52地点が下落し、南河内・泉州の一部は下落が続きます。全国でも地方4市の伸びが鈍り、東京・大阪への集中が鮮明になりました。平均値に惑わされず、区・駅・徒歩分数という具体的な立地で見極めること——それが二極化の時代の基本姿勢です。旭森観察室は、これからも一次データに基づく蒸留された情報をお届けします。
【主な出典】大阪府「令和8年大阪府基準地価格調査(地価調査)の結果について」(2026年9月16日)/国土交通省「令和8年都道府県地価調査」(2026年9月15日)/日本経済新聞「基準地価5年連続上昇 建築費高騰で名古屋や札幌など地方は伸び鈍る」「東京の商業地、33年ぶり地価平均300万円超え」(2026年9月)/楽待新聞ほか各社報道
ASAHIMORI · 旭森不動産
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言・売買の勧誘、また特定の地域・物件への投資を推奨するものではありません。掲載の地価データは国土交通省および大阪府の公表資料(2026年9月時点)に基づく参考情報であり、個別物件の価格や将来の地価・賃料の動向を保証するものではありません。基準地価は各基準地の標準的な価格であり、実際の取引価格とは異なる場合があります。不動産投資に関する最終判断は、専門家にご相談の上、ご自身の責任で行ってください。市況・金利は変動します。