VOL.07「GW特別号 · 2026年大阪不動産市場の底力を数字で読む:野村不動産最高益と修繕費リスク|旭森資産観察室」
ゴールデンウィーク、じっくり読んでください。今週は一気に複数の重要データが出揃いました。
野村不動産が2026年3月期の最高益を発表、同週に国交省が近畿圏マンション2025年度市場動向を発表、そして日経が「建材不足でマンション修繕が止まる危機」を報じた——この三つは実は同じ一枚の絵の異なる側面です。本号では、この「2025年度の総決算」データを全て一箇所に集め、在日華人投資家への含意を整理します。
4月24日、野村不動産ホールディングスが2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の決算を発表しました。数字が示す「大阪を含む日本不動産市場の実力」はこれです。
この数字が特別な理由は二つあります。一つは、利上げ局面にもかかわらず大手デベロッパーの収益が過去最高水準を更新したこと。もう一つは、野村不動産の収益の柱に「関西エリア」が含まれており、大阪都心部の分譲マンション・商業施設の堅調な売れ行きが下支えしているということです。
国土交通省が今週発表した近畿圏マンション市場動向2025年度。大阪市内の平均は前号で詳述した「-6%の6%安」ですが、近畿圏全体のデータを改めて整理すると、市場の構造が鮮明に見えてきます。
重要なのは、VOL.03で解説した「大阪市の-6%」は近畿圏全体+7%の中の局所的な揺れに過ぎないという事実です。投資用小面積物件が平均を引き下げただけで、都心ファミリー物件・駅近中古の実態価格は上昇トレンドを維持しています。
特に注目すべきは築20年以上の区分マンションが全国平均でこの3年間に約1.6倍に達したというデータです。これは「新築・築浅だけが上がる」という従来の常識が崩れたことを示します。中古物件を保有している方にとっては、含み益の大きな拡大を意味します。
好材料ばかりではありません。4月29日付日本経済新聞が報じた、見落とせない新しいリスクシグナルが3つ浮上しています。
中東情勢の混迷が建材供給チェーンを直撃。住宅用合板価格が1年ぶりに上昇(国産針葉樹3%高)。大規模修繕工事の入札不調や工事延期が相次いでおり、特に築20年超の物件で計画見直しが増加。
材料費・人件費の双方が上昇する中、修繕積立金の改定幅が拡大。購入時に低く設定されていた「段階増額方式」物件では、今後5〜10年でさらに1.5〜2倍の値上げが見込まれる。VOL.04で指摘したとおり、この「隠れコスト」の現実化が加速している。
中規模建築物への省エネ基準適合義務が拡大。新規開発コストが上昇し、今後の新築供給がさらに絞られる見通し。既存中古物件の希少価値が相対的に上昇する可能性。
野村最高益・近畿圏最高値・築古1.6倍・修繕費危機——これら全てのデータを統合すると、4つの明確なシグナルが浮かび上がります。
戦略的価値が確定
2026年も継続
精査が必須化
最高益を出し続ける
時間のあるGW中に、投資判断の準備を整えましょう。旭森観察室が推奨する3つのアクションです。
野村不動産最高益・近畿圏価格史上最高・築古まで1.6倍——この3つのデータが2025年度を総括しています。利上げ・建材高・外国人規制議論が重なる中でも、都心良物件への需要は衰えていません。
修繕積立金の値上げ加速・建材不足による工事停止リスク・省エネ基準コスト増——これらはどれも「広告の表面利回りに載らないコスト」です。VOL.04の実質利回り計算がますます重要になっています。
GW中は市場が静かになります。このタイミングに情報を整理し、GW明けに具体的な行動に移すことで、「熱狂的な買い場」より先に動ける可能性があります。VOL.05で指摘した「静かな時間に動く投資家が次の5年を制する」——その原則はここでも生きています。
